街宣カーとウグイス嬢の話

 で、街宣カーである。もう、選挙となるとすぐ「街宣カーをどうするのか」「ウグイスさんをどうするのか」を悩むのが通常である。選挙に関する相談もこれが多い。

 しかし、個人的な意見は「それほど悩まなくて良い」である。というか、今まで読んでもらっている方には分かってもらえると思うが、私の選挙に対する意見は、他の大半の人と違っているので、オルタナティブとして参考にしていただければと思います(自信持っているけど)。

 まず、街宣で票は取れない。街宣(車)を聞いて・見て投票先を変えるだろうか?答えは「否」。ただし、研究によると街宣(車)は「投票先を変える効果はないが、投票に行こうと思っている人の意思を高める効果はある」そうだ。ま、その程度なのに、すごい費用を掛けて街宣(車)をやるのはどうなのだろう(じゃあ選挙期間中に何をやるのかという問題はあるが)。

 大体、街宣部隊は選挙の花形である。出発前、到着時は事務所総出で拍手でお見送り・お迎え。事務所前を通る時には何をおいても飛び出していって手ふり。帰ってきたら「お疲れ様!今日はどうだった?さぁさぁお弁当食べて!」と下にも置かぬ扱い(ウグイスさんだけだが)。「今日は沢山手を振ってもらえました~」「反応だんだん良くなってますぅ~」みたいなことをウグイスさんがいえば、(大抵は事務局長が)「よし!良かった!これで頑張ろう!」なんて上機嫌で事務所が沸き立つ。

 そんな中でたまに「どうだった?」と話を振られて「一票も取れてないですね…」みたいなことを言って座がシラケかえってしまう(二度と聞かれなくなる)。正直、街宣車が回ってきて、手を振るのは「支持」でもなんでもない。私ならどの陣営が来たって振ってしまう。選挙が近づくと反応が良くなるのはどの陣営でも同じだ。

 それでもどうしても街宣をやるなら、少しでも票の取れる街宣を試みる。大抵は名前の連呼だが、短い政策を入れる。信号で止まったときは(最近ではアナウンスをやめる陣営もあるが)こんな時こそ聞いてくれるチャンスとばかり長めの台詞を入れる。まぁこんなことやっているのは他に知らないけど…。

 スポット演説に自信があるなら、音響装置まるごと移動できるのと、移動時間も宣伝できるので、あっても良いかなとは思います(スポット演説については別途)。

 かつて関わった選挙で、候補者の方が、演説はお上手ではない、人と話すのが苦手、政策も外見も人並みという方がいらっしゃいました。しかしその陣営、前任者から引き継いだ名簿と電話掛けをする人員があった。そこで採ったのが、電話部隊を中心とする方法。当選ラインがそれほど高くない自治体議員選挙なら、この方が確実だ。普段は日陰者扱いされている電話部隊(電話掛けの人に弁当を出す陣営は無い)に「あなた達こそ、この選挙の中心である」と認識してもらう。そして(これは市民の党の手法をパクったのだけど)電話掛けが楽しくなるしかけをちょっと入れた。

 相手はプロ中のプロ。プロのウグイス、大部隊、たすきはちまき、揃いのユニフォーム。「相手が二度と出てこれないように大差で勝たしてくれ~」と大運動を展開してきた。結果は、こちらが相手の二倍の得票で当選。もちろん作戦のせいだけではないが、取捨選択も一つの手だということだ。

ビラの中身と演説の中身の話

 アメリカ大統領の予備選の初期、バイデンは大学の教授みたいな話し方をしていて、当初本命だったのが、サンダースに大きく差を付けられて撤退も視野に入ってくるぐらいの支持率になってきた。予備選まであと一週間を切ったときにアフリカ系米国人のジム・クライバーン議員が、バイデンにアドバイスしたそうだ。

 「君のスピーチは上院議員っぽい。それじゃ選挙に勝てない」「私の父のようなものの見方をしなきゃダメだ。父は根本主義の牧師で日曜日の朝には説教をした。父は三つのものに力点をおいた。『君』と『君の家族』と『君のコミュニティ』だ」。

 それからバイデンの支持が急激に伸びて勝利した、というのは出来すぎの話に思えるが、「相手の関心事を話す」というのは真理を含んでいる。選挙の演説なら基本的には、この三つだけ話せばいいと思う。

 街頭で演説していても、それが聞いている人の役に立たない内容なら雑音だが、役に立つ内容なら「お得な情報」「耳より情報」だ。「何故、もっとでかい声で言わないんだ!」と言われてもおかしくない。「大きな音ですみません」なんていう候補者は自分の話の内容が意味が無いと自白しているようなもの。民主主義を支える重要な選挙に関する情報だ、誰を選んだらよいか、自分を選んだらあなたの生活にどんな良いことがあるか、あなたの子どもや孫にどんな良いことがあるか、しっかり伝えるべきだと思う。

 ある女性候補の応援演説でもこんなことを言ったことがある。「女性の議員が議会にいなくていいんですか。これからコロナワクチンの接種が始まるでしょ。その時に接種会場に子どもを預けられる用意してありますか?遠いところに住んでいるおじちゃん、おばあちゃんに預けにいくなんて非現実的でしょ。保育所が一時預かりしてくれますか?こんなこと、男性ばかりの議会や行政だったら気がつきませんよ!」。すると、道行く人が、明らかに歩きながら聞いているのが分かるのだ。「ん?あんた今何言った?」という感じで。お母さん世代だけでなく、祖父母世代も同様。

 実はこれ、当てずっぽうだったのだけど、東京都千代田区は預かり所を開設するとのこと。しかし、それに対して、「その人達はワクチン接種すんでいますか?」と質問されている方(女性)がいて、さすがに女性視線は違うなと感心しました。

 「相手の関心のあることを言う」は演説だけでなく、祝辞やメッセージでも当然使えるし、その為には相手が何に関心を持っていて、何を心配しているのかのリサーチが不可欠だ。それさえしていない人がなんと多いことか…。 皆さん、頑張って。ライバルは意外とダメダメですよ。

ビラ

 今回はビラである。

 どうして候補者・政治家の配るビラはああテカテカした紙で、自分の写真がでかでかと入っているものなのだろうか。中身は無いし、もらっても電車で読めないでしょ。もっと読める内容にして欲しい。

 思い出すのは、随分前になるが逗子市長もやっていた長島一由さんが言っていた、「ビラはつかみとひっぱり」と言う言葉だ。テレビ局にいただけあって、まず「読みたい」「何だろ?」と思わせる「つかみ」(タイトル)。そして次も読みたい(見たい)と思わせる「ひっぱり」が必要だというのだ。

 そこで、僕が都議選の候補者用に作ったビラの見出しが『渡る都政は鬼ばかり!』。どうですか。ちょっと読みたくなりませんか?結局使われませんでしたが…。

 長島さんというと、もう一つ印象的だったのは、逗子市長選に出る前に、「白表紙」の逗子市の問題と自分の解決策を書いた冊子を全戸配布したこと。カラー、顔アップとは全く逆の発想ですよね。コピーを大事に持っていたのですが、いま見当たらず…すみません。そういうことも必要です。他人が思いつかないことをやる。他人の思い込みを覆す。是非、やってもらいたいです。

 「配る」ことについても、書いておきます。よくビラを受け取ってもらえないと、「この地域は反応が悪いな。地盤が悪いな」とがっかりしますが、私に言わせると、ビラの受け取りは、結果であって原因ではありません。普段からその地域にファンを作っているか、誰かがその候補者を「よろしく!」と言っているから受けとってくれるのであって、受け取ってどうこういということは無さそうです。受け取りが悪ければ、「うわ、この地域はまだまだ開拓できる余地がある!」と喜べばよろしい。もちろん受け取ってくれれば嬉しいが、ビラでファンが増えるわけではないです。そもそも上に書いたような内容のビラでは。 というわけで、テカテカしてなくて自分の顔写真がデカデカと入っていないビラをお待ちしております!!

演説の「動き」

 この前、不思議な候補者の演説風景をネットでみました。ある首長選挙だったのですが、候補者が話しているときに、あっちを向いたりこっちを向いたり。それはいいとしても、無理矢理に手を振り上げて動かしている。まるでロボットのような感じなのです。おそらく選対に指示されて演説の時に腕を使うように言われたのだろうけど、あまりに不自然。そのせいか、この候補者の演説している動画はほとんどアップされておらず、探すのに苦労しました。応援弁士の動画はいっぱいあったんだけど(ちなみにこの人は当選しました…選挙は難しい)。

 肘を胸より上にもってくるのは、「パワーゾーン」と呼ばれて、力強い印象を与えます(一度鏡で見てください)。かといって、いつも同じようにするべきではないです。話している内容と手の動きが合ってないと、「愛してる」と言いながら中指を突き立てているような不自然な印象を与えます。

 有名な、バラク・オバマの2008年のベルリン・スピーチを見てみてください。抑制された中にも、右手を挙げたり、その手のひらを胸のところにもってきたり、リズミカルに動かして、段々上に上げたり、表情豊かです。そしてそれによってスピーチの説得力が増しています。https://www.youtube.com/watch?v=OAhb06Z8N1c で、それはどうして可能になったか。共和党の方も出しておきましょう。こちらはアーノルド・シュワルツネッガー(当時カリフォルニア州知事)の2004年共和党大会のスピーチです。これもオバマ2008ベルリンと並んで、ベスト10(いやベスト3か?)に入るぐらいの名演説です。https://www.youtube.com/watch?v=ZJJ6h72oiLk 冒頭から「わぉ、オスカーを受賞したみたいだな」と、ユーモアと観衆への賞賛を一発かましておいて、「私の出演作の一つは『トゥルー・ライズ』ていうんだけど、まさにそれは民主党大会に当てはまるね」と聴衆を湧かす。自分がアメリカの市民権を得たときの話(「一日中アメリカ国旗を背負ってそこら中駆け回っていたよ」)から、ソ連占領下のオーストリアでソ連兵の検問を通過した時の話(「本当に怖かった。だって、その時はまだアクション・スターじゃなかったからね」)など、一言一句説明したいぐらいの名スピーチですが、今回はアクションを見てください。まったく自然ですよね。しかし、スタッフによると、「自然に見えるぐらいになるまでに、猛練習していた」そうです。あの「大俳優」のシュワルツネッガーが「自然に」見えるようになるまで練習している!何故、世の中の候補者(や政治家)が練習しないのか、全く分かりません。共に頑張りましょう!!

 今回は「声」です。政治家・候補者の方で「声」の出来ていない人は意外と多いです。声の善し悪しとか個性とかではなく、「聞かせられる」声のレベルというものがあると思います。


 声楽や舞台をやってた人でも、くぐもったりして聞こえることがあるので、俳優や音楽家の声とも違うのかもしれません。良く通る、聞きやすい声、意味が取りやすい声。これが理想です。これがどうやったら出るのか?は申し訳ないですが、私にも分からないのです(研究中)。私の場合、12日間ぶっ続けで10時間ぐらいしゃべっていたら、一週間目ぐらいで突如声がでるようになって、それ以来声が出るようになりました。


 その前にも、腹式呼吸をやったり、ボイストレーニングをやったりボーカルスクールに通ったりとしましたが、イマイチわかりません。腹式呼吸なんて、どの本をみても「床に寝転んでお腹を膨らませてお産をするように」とか、全然意味分からない説明だし。


 小坂明子さんの『歌はいきなり上手くなります!』という本は少し役に立ちました。お腹ではなく、背中をつかって呼吸するようです。あと、吸い込むときに膝を少し折ると空気が入りやすい。躰の軸を意識することと、首回りを柔らかくすることで声が出やすくなります(これはすぐ効果がでるのでお薦めです)。


 今回は何の示唆にもなっていませんが、いろいろと工夫してやってみてください。
 練習方法の一つは朝・夕の駅立ちだと思います。大きな声で「おはようごさいます!」「いってらっしゃい」「お気を付けて」。時々「○○(名前)です」と言ってみてください。練習になるはず。皆さんが働いてくださっているおかげで、世の中回って自分も暮らしていけているのだと思えば、自然と感謝で声もでるはず。
 大体、ビラを受け取ってもらおうとすると、30メートル手前ぐらいから、ドでかい声で「おはようございますっ!」と言っておいた方がいいです。
30メートル前 
 こちら「おはようございますっ!」
 歩行者の方「(・・なんだ?何かがいる・・)」
15メートル前 
 歩行者の方「(・・うわ、こっちみて微笑んでいる。誰だ?何党だ?やばい宗教勧誘か?)」
5メートル前
  こちら「(再度)おはようございます!○○です!」
  歩行者の方「(うわ、やばい。変なものではなさそうだけど…。受け取りたくないな。このまま行けるかな・・)」
 直前
  こちち  歩行者の方が手を前に振り出したその位置にビラを、さっと持ってくる。
  歩行者の方 受け取ってもらう(しまう)
という流れなので、距離がとれるときは、是非とも大声でやってみてください。

演説で大事なこと

大事なことなので最初に言います。


 正直言って、語るべきストーリーがあれば、形式やテクニックは二の次です。『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』や『TEDトーク 世界最高のプレゼン術』などの本で書かれている内容も、「言いたいことは何なのかを突き詰めろ」につきます。
 伝えたいことは一体何なのか、これが一番大事です。出馬を決意したら、名刺やポスターの心配をしたくなりますが、まず時間のあるときに、これをやっておいた方がいいです。
 その上で分かりやすいように聞いてもらうすべを施すのです。


 で、ストーリーの続きですが、例えば、歴史的なオバマ大統領の勝利演説(シカゴ、グランドパーク)で、オバマはある女性の話をします。
 「今回の選挙にはいくつもの『史上初』がありました。…アトランタで一票を投じた一人の女性の物語です。彼女も今回の投票のために列に並んだ何百万人の内の一人です。しかし、特別な点が一つだけありました。アン・ニクソン・クーパーさんは106歳なのです。彼女が生まれたのは奴隷制が終わってわずか一世代(約30年)後で、その時、道路には車は無く、空には飛行機もありませんでした。当時、彼女のような人は二つの理由で投票を許されませんでした。一つは女性であること。もう一つは肌の色で。」
 どうでしょうか。「今年は投票権付与から○○年で・・・」なんて言うより、よっぽど、というか、全然いいですよね(この後も、演説は続きます)。
 で、大事なことなのでもう一度いいます。…
(このシリーズ続く)

合格発表

 本日、政策担当秘書試験の合格発表がありました。合格者は12名。おめでとうございます!受験申込者は201名でした。 合格者のうち7名が20代、50代の方も1名、女性の方も2名いらっしゃいます。 そして…またしても講座から合格者でました!!!

政策担当秘書試験 令和2年度課題

今年度の政策担当秘書試験の問題について、新しく情報をいただきましたので、お知らせさせていただきます。感謝。他にもあれば教えてください!


①(必修)人工知能を取り扱う人材の育成等について
問1:人工知能を取り扱う人材にはどのような人物が想定されるか
問2:人工知能人材を輩出するための仕組みづくりについて
資料:人工知能に関する国の計画や各種情報、情報技術関連を講義できる大学の状況、大学をでた人たちの情報関連に対する学びの需要等。


②(選択)気候変動を踏まえた東アジアにおける日本の取組について
問1:気候変動はなぜ安全保障上の問題とみなせるのか
問2:問1を踏まえた、東アジアにおける日本の外交政策について
資料:自然災害やその被害に関するもの、メコン川下流域における海水面の上昇を踏まえた今後の農業環境の予測、東アジアにおける人口移動、日本の民間企業のタイへの投資状況等。


③(選択)SDGsの「目標 5 ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る」を踏まえた女性の社会進出について
資料:女性の性犯罪や中絶に関する資料等。

ストーリーの大切さ(前編)

 第2回はストーリーの大切さです。人間は太古の昔から物語(ストーリー)が大好き。文字のない時代から口伝えで物語を語ってきました。子どもは「お話読んで」とせがみます。大人も暇があったら携帯やテレビ、パソコンでドラマを観ています。そしたら何故ストーリーを語らないのでしょうか?候補者から聞きたいことは色々ありますが、まず「あなたは誰?どこからきて、どこへ行こうとしているの(私たちをどこへ連れて行ってくれるの)?」です。
 映画『アラジン』で冒頭、アラジンが市場で小さな子どもに食料を分け与えるシーンがあるのだけど、何故あのシーンがあるか分かりますか?
 あれがないと、アラジンはただのコソ泥です。アラジンが「優しい心」を持っているからこそ、後のストーリーで王子になりすまして王女と結婚しようとしても違和感がありません(それでもアリアリですが)。『バックトゥザフューチャー』の冒頭はどうだったでしょうか。だらしなく寝ているマーティーが遅刻しそうになって慌てて起きるシーンから始まります。これだけで、「この映画の主人公は、学校でモテモテのスーパーマンではなく、ちょっとだらしなくておっちょこちょいのテーンエイジャーなんです。ちょうどあなたのように(だから一緒に楽しみましょう)」ということが、短い時間に表現されているわけです。こういう風にちょっとした動作やエピソードで人物描写をしていない小説はほとんどありません(逆に人物描写を隠して、読者を引きつけるのがミステリーや推理小説)。だから、エピソードで人物を知ってもらうべきです。
 余談ですが、よく、弁護士の方が候補者になった場合の「あるある」は、①まず「○○○○、弁護士です!」と名乗る(まぁ、これは聞く人への共感性は中立ぐらい)。②自分の関わってきたケースを列挙してしまう、ということがあります。司法試験か仕事の影響でしょうか。前にある候補者の人に、列挙をやめて一つのストーリーに絞るというアドバイスをしたけど、アドバイスをしたことを自分で忘れていて、ビラを配りながらその演説を聴いていて泣いた、というアホなエピソードを書いたことがありますが(シングルマザーのお母さんが子どもが出て行って帰ってこなくて心配で相談に来たという話)、それぐらい違います。
 また長くなったのでストーリーについては、また続編。

演説について

今回の都議選で大勝した候補から、ごく初期の段階で演説の指導をして欲しいという依頼があって、実は一度行っている。とはいえ、駅で街頭をやっているところで2回ほど本人の前で演説しただけで、特別なことを伝えたわけではない。しかも、そこで伝えたかったのが「数字の使い方」だったのだけど、本人はもっとエモーショナルな話し方をする人で、ほとんどというか、全く影響を受けていないと思う(演説ってその人の躰から出てくるのでなかなかスタイルが変わらないのだ)。
 数字は上手く使うと説得力が増す。例えば政府のコロナ対策を批判するんだったらこんな風だ。「昨年9月16日、菅総理になってから、コロナの感染者は前任者の時の10倍、累計7万人だったのが70万人増えて約77万人になっている」(6月14時点)というと、いかにこの時期が異常だったか、聞く人がイメージしやすい。
 ただし、一つの演説で数字を沢山使うと聞く人が数字を追うのに疲れて混乱する(ある議員さんは一つの演説で10箇所以上数字を使うので、3カ所以内に絞り込んだら聞きやすくなった。理想は1カ所。アル・ゴアの講演でも1カ所だけだった)。
 女性候補の応援だったら、「都議会議員の男女比率、都議会は女性28.6%と全国平均10.1%より高いけど、男女半々いる世の中なんだから、せめて半々50%にしませんか」と言う。市議選なら「すでに50%になってる市町村もあるんですよ。例えば葉山町53.8%、大磯町50.0%。なんだ町ばかりじゃないかと言われるかもしれませんが、市も50%に近いところがあります。大阪府交野市46.7%、東京都清瀬市45%。しかるに○○市の現状どうですか・・・。もっと女性の声を反映しなくていいんですか」と話すわけです。
 もちろん数字がスラスラでてこないとカッコ悪い。無敗の男、中村喜四郎先生の演説でも数字がバンバンでてくる。しかも1回しかやらないような応援演説でも「この○○県は、△△は日本一!しかし□□は全国最低ですよ!変えなきゃいかん(意訳です)」とやるわけです。よくそれだけ研究しているなという思いと、とにかく数字が出てきてすげーなーと思って不思議だったのですが、常井健一さんの名著『無敗の男』を読むと、中村喜四郎先生が単語カードに書いて主要な数字を覚えているという記述があって、なるほどという納得と、あの喜四郎先生でもそんな努力をしているのか!とますます敬服しました。
 長くなったので、次回は「ストーリーの重要性」。