令和6年度政策担当秘書資格試験 解答例と解説(1)解説編

令和6年度問題解説

全体講評

 受験生の皆様、お疲れ様でした。これから受験しようとされる皆様、ご苦労様です、頑張ってください。今回も難しかったですね、というか面倒というか。必修の課題1がとりわけ難しく感じます。選択問題の2問とも選択できれば、随分楽だったと思います。

 そうは言ってられないので解説です。難しかったといっても、答案の筋は難しくないです。資料の読みとどこで使うかが難しいだけです。答案の筋は、人からロボットに置き換われば、失業者もでる。ロボットは納税しないので納税額も減る上に失業手当などの財政負担も増えるということです。これを資料を使って、カッコ良く、じゃなかった説明的に書く。資料を使った大喜利みたいな感じです。資料をどこでとう使うのかに頭を使います。基本的には全部使わないと試験問題を作成した人の意図に沿ってないので全部使ってください。問題作成者の意図はどのあたりにあるのかを探ります。

 申し遅れましたが、今回の試験も資料が付いていないものが3カ所あります。課題1の資料2と資料3、課題3の資料3-2ですね。資料が揃ってないと過去問を解こうとしても筋が分からなくなるので、これはできるだけ避けて欲しいですね。

 課題1の資料2と資料3は国際ロボット連盟の資料です。見やすい日本語のサイトは資料1がhttps://www.automation-news.jp/2024/02/79960/

 資料2は英語ですがhttps://ifr.org/ifr-press-releases/news/global-robotics-race-korea-singapore-and-germany-in-the-lead です。

 課題3の資料3-2は、恐らく内閣府NPOホームページのこれが載っていたのではないかと思いますが、課題1の資料ほどの確信はありません。

https://www.npo-homepage.go.jp/kifu/kifu-shirou/kifu-hikaku

課題1

 まず問題文でいくとキーワードは、「AIやロボットの導入」で我が国の「経済成長」「所得分配」に影響、「雇用」の視点から多くの課題、ということです。その上で①は「雇用や経済成長」を通じて「財政」にどのような影響を与えるか?という問題ですので、「」の中事について全部触れなければなりません。

 いつも面倒くさいのですが、資料1あたりに(今回は資料1~3)に、背景説明というか、当たり前のことを書く資料がついています。資料があるということは、「そもそも」の部分も書け、ということです。解答の筋が分かっても、それをすぐ書き始められないもどかしさがあります。何回も「受かる!政策担当秘書試験シリーズで書いていますが、「当たり前のことを当たり前に書く」のは難しいのです。今回の資料1~3もどう書いたら良いのか苦労しましたが、まあ一例として参考にしてください。資料3が国別の数字が何に使うのかよく分かりませんでした。韓国やドイツが最近(といってもちょっと前)工業分野で好調だったという記憶があるのでなんとか書きましたが、「知ってる、知ってない」で成績が変わってしまうような問題は良くないと思います。それとも他に解釈の仕方があったのでしょうか。

 資料4は、AIによって一時は雇用が減るけど、仕事の裾野が広がって最終的には雇用が増えるよ(ホンマかいな)という図で、突っ込めばもっと書けましたが、時間がないのであっさりと書いてます。資料5も難しいです。GDP成長率が高かった2000年~2005年(1.22%)や2010年~2015年(1.05%)には、TEF(技術進歩)が寄与していると言いたかったのではないかと推測しました。資料6もどこに意図があるのか読み取るのが難しいグラフです。失業率と現金給付がほぼリンクしている2018年までの事を言えば良いのか、政策が変わって教育訓練給付や雇用調整等助成金が増えた(Welfare to Work政策みたいですね)2018年以降の部分に言及すれば良いのか。時間も無いので2018年以降の政策転換はパスしました。しかし、「出題の趣旨」を読むと、「経済成長によるプラスの効果と失業支援などの財政負担増によるマイナスの効果」を書いた答案が少なかった、とありますが、逆に、びっくりです。そこを書かずに何を書いたのでしょうか。②のロボット税が必要かどうかは、使えそうな資料があまりないので、自分で考えて書く。「稼ぎ手のとしてのロボットをどう考えるか」(出題の趣旨)ということですが、あっさり、「ロボットは納税しない」と片付けてしまいました。③の課税問題も難しいです。ほとんど選択する人がいなかったという去年の課題2も税問題でしたが、またしても税です。重要でホットな問題なので、しょうがないかもしれませんが、難しいですね。資料7、8、9からロボット税を立案せよ、というのは資料が漠然としすぎて、知識で補わないと苦しい。再掲ですが、知識を使って解かないといけない問題は受験者の専門分野によって不平等がでるので良くないと思います。「課税標準、税率まで展開した人はほとんどいなかった」(出題の趣旨)とありますが、そこまで書ける人は、よっぽど知識があるか、書く速度の速い人でしょう。

課題2

 課題2は、なじみのある問題で、割と楽に書けるのではないでしょうか。気になったのは、韓国のコンテンツ界での成功をそんな持ち上げていいのか?というのと、表現の自由が制限されている国として中国とかロシアとか名指しで書いて良いのか?という点です。前者については、やはり「出題の趣旨」で、国家がそんなに介入して良いのか?英米みたいに寄付でやるのがいいんじゃないか、という答案があったことを例示して、評価しています。②も易しいでしょう。

課題3

 これも近時の重要かつホットなトピックである「移民」です。しかし、①もなんとなく資料から想像はしましたが、各国で難民の定義が違うということを知っていれば、あっさり溶けますし、知らないと難しいので、知識の差が出る問題です。これも良くないですね。資料3は認定基準を厳しくしたら、そもそも申請数が減ったという事実をストーリー化できるか。②に関して、資料5は、どこに着目したら良いのかよく分からない表です。地理的な要因が移民に対する意識に差を生み出しているということでしょうか。それにしてはドイツもかなりの数を受け入れてますし。③は難民受け入れを増やさない場合の代替策です。出ましたアイディアを評価する問題!と言いたくなりますが、ここは想像力のある答案が評価されます。思いつかなければ、普通のことで十分です。

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