都知事選雑感

都知事選終了しました。
 まず、大きな観点でいうと今回は野党のトップを争う戦いだと思っていました。独自候補者を出さずに他党と共闘した国会内野党第一党。対応がバラバラだった元の相方の政党。これに対して、新興のれいわ新撰組、維新がどれぐらいの票を得るのかが、今後の野党共闘(なんてものがあるか?)の指標になるのだろうと思います。
 山本太郎さんはとにかく演説が上手かった。政策はともかく、演説は「話芸の域」。絶対的発信力の強さで65万票(3位)。維新も選挙上手は変わらず61万票(4位)。ただし供託金没収ラインを上回れず。小野さんが意外だったのは、話が思ったより暗い印象で覇気が感じられなかったこと。真面目な人なんだろうけど「これは票数が落ちるな」と思っていたら、やはり想定より低かった。
 宇都宮さんは・・・実績は素晴らしいが演説はやはり本職の政治家と比べると落ちるので、票が伸びる感じはしなかった。大体、弁護士の方とか偉い人とかが候補者になると、周りが候補者にモノを言えなくなる傾向があり(宇都宮陣営がそうだと言うわけでなないが)、スタッフが演説原稿に手を入れたり意見したりしないことが多いんだろうと思う。
 昨年、参議院選挙を手伝っていたことがあって、その際も候補者の演説を聞いていて、直した方がいいと思う点があった。けど僕のような外部から来たスタッフは候補者に直接話しをすることもできず、お付きの人にそっとメモを渡した。
 その日の午後、ビラを配りながら演説を聴いていたらなぜか涙が溢れてくる。メモを渡したことを忘れていて、夜になってやっと「あれ?あれは俺の原稿の一部じゃないか」と思ったのだけど、本人に聞いてないので未だに謎だ。
 アドバイスの一部は、例えば冒頭の部分で「自分が政治家を志した理由」を述べるのだけれど、そこが平易で「こんなこと、あんなこと、こんなこともありました」と列挙していたので、「一つでいいから具体的に深く話してください。ここで聞いている人の感情が入る(共感)するように」というもの。
 自分が「政治家を目指す理由」というのは候補者にとっては一番大切な部分で、ここが深くないと、後の支援要請も深まらない。「自分は、これこれこういう不幸な目に遭っている人を目前で見ていて、なんとかしなければと思って・・・」となるわけで、その理由が深ければ深いほど、支援する人も「わかった」となるから、ここはちゃんと伝えなければならない。その時は、母子家庭で貧困で、さらに子どもの非行に苦しむお母さんの話を話してから続きの演説に入っていったので、グッときたんだろうと思う(但し、そのスタイルは一日だけで、その後は元の演説のスタイルになぜか戻ってしまった)。
 やはり、「しゃべり」は重要で、今回、西本誠さん(スーパークレイジー君)が、11,887票もとったのは、彼のしゃべりの力だろう。外見とのギャップも効いているのだろうけど、意外に率直でいいのだ。いわゆる一般的な選挙活動をほとんどしていない沢しおんさんが20,738票を取っているのも、選挙後に観たインタビューとかをみると、人柄というかしゃべりと政策のおかげなのではないかな。
 もちろん実地の街宣やビラ配りが重要でないわけではなくて、いわゆる政党候補以外で、独自に正統派選挙をやった込山洋さんが10,935票とっているのも注目点だ。
 まだまだ分析はあるのですが、また今度。
http://sokuho.r2tochijisen.metro.tokyo.jp/sokuho/r02chi_kai.html

2020年7月6日

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