令和6年度政策担当秘書資格試験 解答例と解説(2)解答例編

令和6年度問題解答例

課題全文については衆議院・参議院のサイトで確認、ダウンロードできます。

課題1(必須)

AI やロボット等の導入は、我が国の経済成長や所得分配に影響を与え,雇用の視点からも多くの課題を生じさせる 。

以上の記述及び次頁以降の資料を基に,次の問いに解答しなさい。

①AI やロボット等の導入は,雇用や経済成長などを通じて,財政にどのような影響を与えるか。

②ロボット税が必要かどうか。

③ロボット税を課す場合には,どのように課税するのがよいか 。

解答例

①ロボットは、その自立性を生かして危険環境下での作業代行や、高速高精度の生産、サービスやエンターテイメントを通じての日常支援など様々な分野で人々の生活向上に役立つことが期待されている(資料1)。実際に、世界中で労働者1万人当たりのロボット台数は2017年以降毎年約12%ペースで増え続けている(資料2)。製造業におけるロボット密度を見ると、韓国、シンガポール、中国、ドイツといった近年産業界で存在を大きくしている国が上位に並んでおり、製造業の成長とロボットの導入が密接な関係にあることがわかる(資料3)。日本の経済成長率を見ても、2000年から2005年、2010年から2015年などの成長率が高かった時期は、TEPの寄与が高く、技術進歩が経済成長にプラスの影響を及ぼしている。(資料5)。これは財政にとってもプラスの影響を与える。

 一方、ロボットの導入で労働者の職が奪われ、失業の増加につながるのではないかという見方もある。実際、AIの導入によって、一時的には機械化可能性の高い職種のタスクが減少するとされている(資料4)。日本の場合でも、先の2000年から2005年、2010年から2015年の成長率が高かった期間は失業率も高く、それに応じて失業に伴う現金給付も増えており、財政にとってマイナスの影響を与えている(資料6)。

②2020年以降、法人税の伸びとは対照的に所得税は2022年をピークにして下落傾向にある(資料7)。様々な要因が考えられるが、ロボットの普及により、機械で代替可能性のある職が喪失したことや低賃金化も一因だと考えられる。人が稼いだものに対しては課税されるが、ロボットが稼いだものに対しては、法人税として以外は課税されないのは不公平である。近年、積極的労働市場性政策に対する支出が増えていることからも、財源は必要であり、ロボット化によって所得の増えた企業に対して、一定の負担を求めることは合理的であると考える。よってロボット税は必要である。

③税は、「公平、中立、簡素」という課税の原則に則って、設計されねばならないと考える(資料8)。「公平」という観点では、ロボットの導入で収益の増えた企業に対して、負担能力の観点から(資料9)、法人所得税の税率を高め、より負担を求める方法が考えられる。しかし、ロボットを導入した企業とそうでない企業の区別をどうするかという問題が残る。また、法人の利益は利子・配当というキャピタルゲインとなって分配されるので、キャピタルゲインへの課税強化も考えられる。一方、「中立」の原則からは、ロボットの導入によって、かえってその効果より高い税金を払う事の無いように、増収分の一定の割合に止めるべきである。「簡素」という面からは、一律に法人に法人税の負担増を求めるのが良いが、先の「公平」の観点から、ロボット化を進めた企業には、補助金や控除で一部を戻す方法が考えられる。

1210字

課題2(選択)

①我が国と諸外国における文化芸術の制度や予算などの共通点や相違点について説明し、文化諸外国の制度や施策で我が国も取り入れるべきと思われるものを挙げよ。理由も説明しなさい。

②我が国のソフト・パワーを今後さらに高めるために,どの分野に力を入れるべきか提案しなさい。その際,自由や基本的人権の尊重といった普遍的価値を重んじる先進民主主義国家としての我が国がソフト・パワーの面で他国に対して優位に立つ上でどのような効果をもたらし得るかについても論ぜよ。特に我が国よりも表現の自由が制約されている諸国と比較すること。

解答例

①我が国では、文化芸術の意義が極めて重要であるとされていながらも、文化芸術基本法にあるように「基盤の整備及び環境の形成は十分な状態にあるとはいえない」(資料1)。これを他国との比較で見ると、予算額においても、政府予算に占める割合をみても、国民一人当たりの額をとってみても、とても十分なものとは言えない(資料2-1)。文化庁予算額の推移においても平成年間の初期は増額されたが、平成13年以降はほぼ横ばい、平成30年以降は、旅客税財源事業分が増えているが、それを除くとやはり横ばいとなっている(資料2-2)。

 政府からの支出や寄付控除の仕組みが共通してあるものの、例えば米国においては寄付金控除の仕組みが我が国に比べて、対象となる団体も幅広く、その上限も高いなど、非常に充実している点が異なっている(資料3-1)。こうした背景もあって、英米と比べ、我が国の個人寄付の割合は非常に低くなっている(資料3-2)。

これらの資金的なマイナス面にもかかわらず、諸外国の文化GDPと比較すると、平成27年の調査と比べ、令和3年の調査では、他国がGDPに占める割合を減らしているのに対して、我が国は低い数値ながら、わずかに伸ばしており、潜在的な成長の余地があることが推測される(資料4)。

 文化芸術の維持発展の為には、それ自体で稼げることはもちろん、政府の財源とするためにも、文化芸術をコンテンツとして、様々な分野で稼いでいくことが必要である。近時、韓流やK-POP等のコンテンツで、世界的な成功を収めている韓国では、金融面での支援や公正な制作・流通の環境作り、融合コンテンツの育成・支援、さらには韓流拡散と連動した進出まで、政府がコンテンツ政策として、国政の課題として取り組んでいる(資料5-1)。さらには、コンテンツのみならず他産業とも関連して、輸出振興策として、戦略をたて、推進している(資料5-2)。このような、官民一体となった幅広い戦略的な取り組みは、多様な産業で相乗効果が期待出来るものであり、我が国でも取り入れられるべきものであると考える。一方、政府による介入は、表現の自由に対する侵害や、政策の失敗のおそれもあり、それらに配慮した形での支援が望まれる。

②世界のコンテンツ産業の市場部門別の2020年から2025年の年平均成長率を見ると、トップは「アニメ」(29.19%)と日本の得意な分野であるが、わずかな差で2位の「映画」(29.05%)や3位の「音楽」(12.85%)といった分野においては、大きな存在感を発揮しているとは言えない(資料6)。映画については、国際的な賞の中でも日本の作品や受賞者の割合が低く(資料8)こうした分野に更に力を入れることによって、より大きな存在感を発揮できると考える。

 また、コンテンツIP世界ランキングでは、日本が上位10位の内4つを占めているが(少年ジャンプを入れると5)、「キャラクター」の伸びが低く(4.99%)(資料6)、まだまだ伸びる余地があると考えられる。

 このほかにも近時では、国外リョコクの目的としてサブカルチャー(アニメ・漫画)を挙げる人も多くおり(資料9)、旅行関連分野も有望なマーケットとして、力を入れるべきだと考える。

 文化が国境を越えていくことによって、文化芸術基本法前文にうたわれている精神、自由や基本的人権の尊重と言った普遍的価値が、他国に伝わっていくことが考えられる。我が国は自由主義民主主義指標では30位であり、例えば、172位の中国、169位のサウジアラビア、159位のロシアの人々に、我が国の文化を通じて、普遍的価値の理解を深め、親しみを感じて貰うことによって、我が国のソフト・パワーにとって、他国に対して優位に立つという効果が期待できる。

1555字

課題3(選択)

①我が国が難民認定に積極的でないとする批判の要因。

②難民の受入れを増やした場合,どのような問題が発生すると予測されるか。

③難民の受入れを増やさない場合,その代わりに難民問題に貢献する施策にはどのようなものがあるか 。

解答例

①難民条約と難民議定書における難民の定義は「人種、宗教、国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという充分に理由のある恐怖を有するために、国籍国の外にいるものであって、その国籍国の保護を受けることができないもの又はそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まないもの」(資料1)と幅の広い定義となっている。このため、国によって、難民の定義が異なり、それが難民認定数及び認定率で日本が他国に比べ非常に少ない(資料2-1)原因になっていると考えられる。また、日本では「難民」として認定している人数は少ないが、「その他の庇護」として在留を認めている人数は令和5年までの合計で6,054人おり(資料2-2)、これも難民認定数が少ない原因となっている。

 また定義の曖昧さと相まって、運用の厳しさによっても認定数に差が出てくる。日本では平成30年1月に難民認定制度の運用を厳しいものに改めた。その結果、翌年には申請者自体が前年の約半分になっている(資料3-1)。また、その国籍別の難民認定申請者の推移を見ても、平成30年以前は、フィリピン、ベトナムが非常に多かったが、運営が厳格化されてからは、その申請数が激減している(資料3-2)。その変化の原因を運用の変更だけに求めることはできないが、そもそも「難民」で無い人が、「難民」として申請していた可能性が否定できない。よって日本の難民認定数や認定率が低いのは、認定制度の厳格な運用に起因するとも考えられる。

②EU諸国においては、2015、2016年に庇護申請者数が大幅に増え(資料4-1)、それに伴って移民問題が、EUが直面している最も重要な問題として浮上した(資料4-2)。シリアやウクライナなど地中海を通じて多くの移民がやってくる(資料6-1)イタリアや受入人数の多いドイツ(資料6-2)などで顕著に見られるように、「移民が犯罪を増加させる」「自国の労働者の職を奪う」「自国の福祉にとって重荷である」と国民が思うようになった(資料5)。

 我が国でも難民の受け入れを増やした場合にも同様の問題が発生すると予想される。具体的には、移民に対する排斥機運が高まること、社会不安が増大することや、政府に対する不満が高まることが考えられる。またそれらを起因として、欧州や米国で見られるようなポピュリズム政党の伸長の恐れもある。

 移民を統合するための教育費用や行政での対応のために財政負担が増えることも考えられる。

③我が国は紛争が多く発生しているアフリカや中東から離れているという地理的な制約があり、多くの移民を受け入れるのが難しい面がある。しかし、我が国のUNHCRに対する拠出率は米国の10分の1、ドイツの3分の1程度であり、名目GNIが我が国の10分の1程度のスウェーデンやノルウェーと比べても額ベースで非常に低くなっている。我が国が難民の受け入れを現状レベルから大きく増やさないとする場合には、UNHCRなどの国際機関への拠出金を増やすという方法がある。また国際機関以外にもNPOへの援助や、難民の出身国への制裁や援助、制度・技術支援なども考えられる。

1331字

令和6年度政策担当秘書資格試験 解答例と解説(1)解説編

令和6年度問題解説

全体講評

 受験生の皆様、お疲れ様でした。これから受験しようとされる皆様、ご苦労様です、頑張ってください。今回も難しかったですね、というか面倒というか。必修の課題1がとりわけ難しく感じます。選択問題の2問とも選択できれば、随分楽だったと思います。

 そうは言ってられないので解説です。難しかったといっても、答案の筋は難しくないです。資料の読みとどこで使うかが難しいだけです。答案の筋は、人からロボットに置き換われば、失業者もでる。ロボットは納税しないので納税額も減る上に失業手当などの財政負担も増えるということです。これを資料を使って、カッコ良く、じゃなかった説明的に書く。資料を使った大喜利みたいな感じです。資料をどこでとう使うのかに頭を使います。基本的には全部使わないと試験問題を作成した人の意図に沿ってないので全部使ってください。問題作成者の意図はどのあたりにあるのかを探ります。

 申し遅れましたが、今回の試験も資料が付いていないものが3カ所あります。課題1の資料2と資料3、課題3の資料3-2ですね。資料が揃ってないと過去問を解こうとしても筋が分からなくなるので、これはできるだけ避けて欲しいですね。

 課題1の資料2と資料3は国際ロボット連盟の資料です。見やすい日本語のサイトは資料1がhttps://www.automation-news.jp/2024/02/79960/

 資料2は英語ですがhttps://ifr.org/ifr-press-releases/news/global-robotics-race-korea-singapore-and-germany-in-the-lead です。

 課題3の資料3-2は、恐らく内閣府NPOホームページのこれが載っていたのではないかと思いますが、課題1の資料ほどの確信はありません。

https://www.npo-homepage.go.jp/kifu/kifu-shirou/kifu-hikaku

課題1

 まず問題文でいくとキーワードは、「AIやロボットの導入」で我が国の「経済成長」「所得分配」に影響、「雇用」の視点から多くの課題、ということです。その上で①は「雇用や経済成長」を通じて「財政」にどのような影響を与えるか?という問題ですので、「」の中事について全部触れなければなりません。

 いつも面倒くさいのですが、資料1あたりに(今回は資料1~3)に、背景説明というか、当たり前のことを書く資料がついています。資料があるということは、「そもそも」の部分も書け、ということです。解答の筋が分かっても、それをすぐ書き始められないもどかしさがあります。何回も「受かる!政策担当秘書試験シリーズで書いていますが、「当たり前のことを当たり前に書く」のは難しいのです。今回の資料1~3もどう書いたら良いのか苦労しましたが、まあ一例として参考にしてください。資料3が国別の数字が何に使うのかよく分かりませんでした。韓国やドイツが最近(といってもちょっと前)工業分野で好調だったという記憶があるのでなんとか書きましたが、「知ってる、知ってない」で成績が変わってしまうような問題は良くないと思います。それとも他に解釈の仕方があったのでしょうか。

 資料4は、AIによって一時は雇用が減るけど、仕事の裾野が広がって最終的には雇用が増えるよ(ホンマかいな)という図で、突っ込めばもっと書けましたが、時間がないのであっさりと書いてます。資料5も難しいです。GDP成長率が高かった2000年~2005年(1.22%)や2010年~2015年(1.05%)には、TEF(技術進歩)が寄与していると言いたかったのではないかと推測しました。資料6もどこに意図があるのか読み取るのが難しいグラフです。失業率と現金給付がほぼリンクしている2018年までの事を言えば良いのか、政策が変わって教育訓練給付や雇用調整等助成金が増えた(Welfare to Work政策みたいですね)2018年以降の部分に言及すれば良いのか。時間も無いので2018年以降の政策転換はパスしました。しかし、「出題の趣旨」を読むと、「経済成長によるプラスの効果と失業支援などの財政負担増によるマイナスの効果」を書いた答案が少なかった、とありますが、逆に、びっくりです。そこを書かずに何を書いたのでしょうか。②のロボット税が必要かどうかは、使えそうな資料があまりないので、自分で考えて書く。「稼ぎ手のとしてのロボットをどう考えるか」(出題の趣旨)ということですが、あっさり、「ロボットは納税しない」と片付けてしまいました。③の課税問題も難しいです。ほとんど選択する人がいなかったという去年の課題2も税問題でしたが、またしても税です。重要でホットな問題なので、しょうがないかもしれませんが、難しいですね。資料7、8、9からロボット税を立案せよ、というのは資料が漠然としすぎて、知識で補わないと苦しい。再掲ですが、知識を使って解かないといけない問題は受験者の専門分野によって不平等がでるので良くないと思います。「課税標準、税率まで展開した人はほとんどいなかった」(出題の趣旨)とありますが、そこまで書ける人は、よっぽど知識があるか、書く速度の速い人でしょう。

課題2

 課題2は、なじみのある問題で、割と楽に書けるのではないでしょうか。気になったのは、韓国のコンテンツ界での成功をそんな持ち上げていいのか?というのと、表現の自由が制限されている国として中国とかロシアとか名指しで書いて良いのか?という点です。前者については、やはり「出題の趣旨」で、国家がそんなに介入して良いのか?英米みたいに寄付でやるのがいいんじゃないか、という答案があったことを例示して、評価しています。②も易しいでしょう。

課題3

 これも近時の重要かつホットなトピックである「移民」です。しかし、①もなんとなく資料から想像はしましたが、各国で難民の定義が違うということを知っていれば、あっさり溶けますし、知らないと難しいので、知識の差が出る問題です。これも良くないですね。資料3は認定基準を厳しくしたら、そもそも申請数が減ったという事実をストーリー化できるか。②に関して、資料5は、どこに着目したら良いのかよく分からない表です。地理的な要因が移民に対する意識に差を生み出しているということでしょうか。それにしてはドイツもかなりの数を受け入れてますし。③は難民受け入れを増やさない場合の代替策です。出ましたアイディアを評価する問題!と言いたくなりますが、ここは想像力のある答案が評価されます。思いつかなければ、普通のことで十分です。

合格者様からのお便り

政策担当秘書資格試験の今年度の合格者の方から、事務所が決まった(就職が決まった)との連絡をいただきました。まったく別の職種からのご転職です。このように未経験でも大丈夫ですので、是非、試験頑張って当業界にお越しください!

政策担当秘書試験合格者オリエンテーション

今年も政策担当秘書の合格者オリエンテーションが開かれました。今年は169名申し込みで7名合格と狭き門でしたが、おめでとう御座います💮
合格すればこのようにサポートさせていただきますので安心を。
今年は政策担当秘書出身の大西健介議員に加えて本庄さとし議員も来られました。
それに嬉しいことに、合格者の方に勉強法をお尋ねしたところ、ひらすら、こちら(RFSJ)の解答例を模写されたそうです!やった!合格メソッドに誤りなし!でした。
今年の問題も解答例を作成次第アップさせていただきますので、お楽しみに!!

https://runforsomethingjapan.net/r5-1/

令和6年度 国会議員 政策担当秘書資格試験 合格者発表

やや遅くなりましたが、9月10日政策担当秘書の合格者が発表されました。最年少24歳から最年長57歳まで。169名応募して合格者は7名ということでした。みなさん、お疲れ様でした。合格者オリエンテーションは9月25日です。受験を考えている人は、是非来年をめざして頑張ってください!#政策担当秘書

政策担当秘書資格試験 申し込みが始まります

いよいよ連休明け5/7より政策担当秘書資格試験の申し込みが始まります。試験料無料、資格は一生(但し定年あり)、政策能力を測る日本唯一の国家資格です。是非、チャレンジしてみてください!

https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/hisho/index.html

昨年の論文試験の解説&解答例を無料で公開していますので、是非ご利用ください。

(問題)

https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/hisho/pdf/r05shushi.pdf

(解答例)

政策担当秘書資格試験 令和5年度問題解説&解答例(2)

解答例です。

課題1(必須)

  • 2018年に公表されたIPCCの「1.5℃特別報告書」は、将来の地球の平均気温の上昇が産業革命前と比べて1.5℃を超えないためには、2050年前後には世界のCO2排出量が正味ゼロとなっている必要があるとしている。IPCCの報告書によると、これから排出できる残余カーボンバジェットは300GtCO2しかない。しかも、220GtCO2以上の推定値が増減するとされており、今後排出できるCO2がほとんど残っていない状態となっている。そのため、今すぐにでもCO2の排出をゼロにする必要がある(資料1)。金融業界にとっても、融資先が気候変動によって被る物理的損壊やサプライチェーンの中断等の物理的リスクとともに、融資が停止または縮小することにより、化石燃料に関連する資産が無価値になったり価値が低下するという移行リスクがある(資料2)。このために、金融業界も将来を見据えた長期的な視点でCO2の排出抑制に資する行動をとる必要がある。

しかし、現在ではIEAのシナリオに基づく年間のエネルギー関係の投資額は、ネットゼロ排出2050年実現シナリオ(NZE)と表明公約シナリオ(APS)では大きな差があり(資料3)、ネットゼロを実現するためには、より一層の投資が必要となっている。そこでGFANZとその傘下に位置づけられる業態ごとにネットゼロ連合(資料4-1)を設立し、資金の提供先の企業に対する温室効果ガスの排出量に関する中間目標を定め(資料4-2)、その目的にあった投資を促すという方法で、資金の面から温室効果ガスの排出抑制の実効性を高めようとしている。

  • EUは、ロシアよるウクライナ侵攻後、短期的にノルドストリーム及びノルドストリーム以外のモノも含めて、ロシアからの天然ガスの供給を急速に減少させた(資料5-1)。長期的には、ロシアの天然ガスに頼る姿勢を改めロシア以外からの天然ガスの割合を高め、かつ天然ガスの輸入量自体をも下げるようにSTEPS(公表政策シナリオ)で計画している(資料5-2)。つまり、エネルギー安全保障の面からも、自国内でエネルギーを生産できる方向へ進めようとしているといえる。しかしAPS(公表公約シナリオ)を実現するためには、直近および将来にわたって更に多くのクリーンエネルギーへの投資が必要となっており、その方面への投資を増やすように、さらに政策を見直すと考えられる。
  • 我が国は、直接、産業界に対して脱炭素化に必要な技術開発支援や国際競争力を高めるための補助金、税制優遇などを行うと共に、その資金の提供元である金融機関に対して積極的に国内外の脱炭素化に取り組み、投資を行うように促進すべきだと考える。その為の手法としては、例えば、カーボンプライシングの手法をとった炭素税の仕組み(資料6)を導入することで、将来の課税水準を意識させ早期に投資を促すことで、化石燃料に関連する資産の価値が低下する移行リスクを下げながら構造転換を促す方法が考えられる。また、気候変動は全地球的な問題であり、一国だけが目標を達成すればよいというものではない。規制の緩い他国に生産設備を移すといったカーボンリーケージも考えられることから、これへの対応も必要だ。工業化の過程で多くの炭素を排出することが予想される一方、対応するノウハウやシステムが不足している途上国に対する支援、例えばインドネシアに対して行ったような発展途上国に対する支援(資料7)を推進することが重要である。さらに、EUにおけるサステナブル金融規制(資料8)などを参考にして、金融機関にサステナブル金融開示規則、企業に対して非財務情報開示を求める基準を策定するなどして、より一層の投資を促すべきである。

1532字

課題2(選択)

  • 我が国は、少子化・人口減少時代にあり、これからも超高齢社会が続き、また働き手が減ることにより社会保障に充てる財源が不足すると予想されている。また、若年層と高齢者の間で、負担と給付に不公平があると指摘されており、その様な構造により、さらに少子化が進むのではないかと懸念されている。このような状況下で、将来世代と現役世代、高齢者世代が安心して暮らしていくためには、全世代が支え合う仕組み作りが必要とされている(資料1)。こうした考えに基づき、令和5年の健康保険法の改正においても、子ども・子育て支援の拡充と高齢者医療制度の見直しが行われた(資料2)。この背景には、高齢化に伴い現役世代の社会保障に対する負担が重くなっていることがある。例えば現役世代が入っている健康保険の保険料は、会社と被用者でほぼ全額負担しているのに対して、退職後の高齢者が入っている国民健康保険は国や市町村の税金が半分程度使われているなど、負担財源の不公平がある。また、現役世代の保険料が、前期・後期高齢者の医療保険に供出されており、その負担が重くなっていること、保険の理念から離れてきているなどの問題がある。年金においても、厚生年金・共済年金と基礎年金の関係において、公費の投入について同様の構造が見られ(資料3)、収入の多い現役世代が多く負担している。

一方、各国の政策分野別社会支出を比較してみると、我が国は家族に対する支出の比率が低い(資料4)。子育て世代の負担が重く、手当が薄いことが少子化を加速している原因の一つであることは否定できない。

 社会保障費の大きな部分を占める医療費においても、30年前の1990年と比べ2020年は、全体が2倍以上に増えていることとともに、公費の割合が31.4%から38.4%へと増加しており(資料5)、公的部門によって支える割合が高まっている。また、医療保険制度の財源構成をみると、後期高齢者は現役世代の被用者保険からの支援金が約4割を占め、ここでも現役世代の負担が高くなっていることがわかる(資料6)。高齢になるほど一人あたりの医療費は高額になる傾向になるが、保険料と自己負担額は小さい(資料7)。保険料の一部負担割合が高齢者になるほど低く抑えられていることもその原因である(資料8)。

 このような状況に鑑みて、これまで負担の相対的に軽かった高齢者も含んだ全世代で支え合う全世代型社会保障の構築が必要とされているのである。

  • 全世代型社会保障制度を支えるためには、例えば保険は病気やケガに対応するために多くの人から拠出金集めて、いわば不幸なクジに当たった人に支出するという考え(保険原理)に基づくものであるから、保険料は受け取る確率的な給付と同じでなければならない(給付反対給付均等の原則)、また、その保険料と支払いの収支は、経費を除いて、均衡するべきである(収支相当の原則)。その観点からは、被用者保険から前期・後期高齢者保険への拠出は問題があるといえる。また、保険であるから、基本的には収入や財産の多寡で保険料を増減することは望ましくなく、多くの加入者が一定の負担をすることによってそのリスクを分散るというのが原則であるべきだ。一方、現実的には、社会をさせるという観点(扶助原理)から、ある程度の拠出や公的負担は是認されてきた。しかし、現在の財政状況や現役層の負担の重さから考えると、病気やケガになりにくい若年層に多くを負担させるこれまでの方向から、リスクの高い高齢者の層にもより負担を求める必要があると思われる。一方で、応能負担の観点から一律に負担増を求めるのも問題があり、収入やあるいは財産の多寡によって一定程度の負担増を検討すべきであろう。

子どもを産み、育てるということは個人の選択の問題であり、本来は自己負担で対応すべきであるが、少子化の問題は社会構造に大きく影響するために、今後はより社会全体の問題ととらえ、自己負担の部分を縮小して公費の部分を多くしていくべきであろう。財源としては社会全体に関わることであるから、税が適当であるが、一般会計に占める税とその他の収入は、令和5年度で歳入の7割程度であり、収入増を考えていかなければならない状態にある(資料9)。消費税は、収入や年齢にかかわらず、広く薄く、消費という行為を基準に徴税する方法であり、あまねく多くの人に分配するという公費の概念に適応する。よって、消費税の一部を少子化対策に充てることは、その性質に適合していると言える。実際に、一般会計税収入の内訳では、近年は消費税と所得税の伸びが著しく、令和5年度における一般会計予算歳入においては、金額ベースで消費税、所得税、法人税の順となっている(資料10)。

1942字

課題3

  • 日本はOECD諸国の中では、合計特殊出生率が低い国のグループに入り、2000年代以降、低い水準のまま推移している(資料1)。この原因の一つには、男性が働き、女性が家庭で育児や家事をするという労働慣行や家庭内での性別役割分担が影響していると考えられる。文化的にも、合計特殊出生率が低い、例えば韓国やイタリアなど、男女の性別役割分担が固定的な国が多い。実際に、日本では男性の収入が多いと子どもの数が多いという研究結果があり(資料2)、この見方を裏付けている。

また、各国の女性の就業率と合計特殊出生率の相関を見ると、女性の就業率の高い国が合計特殊出率が高いという正の相関関係が見られる(資料3)一方、男女別に見た生活時間でも出生率の低い日本や韓国においては、男性は他国と比べ飛び抜けて長時間有償労働している。その反面、子育てへの関与が低く、女性は無償労働、つまり家事や育児・介護といったケア労働に従事している割合が高い。出生率が高いスウェーデンやフランス、英国などの国は男女差に大きな違いは無い(資料4)。

男性が働き、女性が家事・育児をするという性による役割分担は、育児休業の取得状況にも現れている。育児休業取得率が女性85.1%に対し男性13.97%と低い上に、取得期間も女性が10ヶ月から18ヶ月が全体の3分の2近くを占めているのに対し、男性は3ヶ月未満が9割近くを占めており、合計特殊出生率が高い国と比較すれば、相当低い水準であるという特徴を持つ(資料5)。

  • ハンガリーでは、家族手当や児童手当といった家族支援策の他、住宅やマイカーの購入補助制度、乳児保育手当や保育手当効、25歳未満の若者の所得税免除や不妊治療に対する積極的な政策など、多様な支援を行っている(資料6)。その効果もあり、2011年に1.23まで落ちた合計特殊出生率を2018年には1.55まで回復させている(資料7)。近年、ハンガリーは若者が賃金の高い近隣国へ流出し、人口が減少し、平均年齢も年々上がってきているが(資料8)、これらの手厚い支援策の効果もあってか、2015年をピークに国外への移住者の数は減少している(資料9)。このような例を参考に我が国でも包括的な支援策を行う必要があるだろう。男女の固定した性別による役割分担を見直し、男性も育児、家事をして女性も働きやすくする環境作りが必要で、その為には男性の長時間労働を改めることや育児休業を取りやすくするなどの政策も行うべきである。また、前提として、若い世代が希望を持てるような雇用の安定化や所得格差の是正を行う必要があると考える。

我が国では15歳から24歳の自殺者がOECD平均より高いことにも留意しなければならない(資料10)。とりわけ、女性の自殺比率が高く、日本同様、女性の性差分担が厳しい韓国が一位となっていることにも注意が必要だ。女性の役割分担を見直すと共に、メンタルケアハラスメント防止やいじめ対策等、自殺者対策を行う必要がある。

1206字

政策担当秘書資格試験 令和5年度問題解説&解答例(1)

お待たせしました。令和5年度の政策担当秘書資格試験の解答例と解説ができました。今年はドドーンとすべて無料で公開してしまいます。今年度より前の10年間分はすべて、受かる!政策担当秘書試験受かる!政策担当秘書試験2 に載ってますので、気になる方は是非読んでみてください。

長いので、まず解説からです。

令和5年度問題解説
全体講評
今年も難しかったですね。良く皆さん合格されたと思います。
 しかし、今年の難しさは近年のものと少し違います。今年は、近年あった「資料にない知識を使ってアイディアを出す」という部分は少なくて良さそうでした。その代わり、資料を読み込む作業に時間を取られる問題が多いです。「このグラフが何を言わんとしているのか」を理解するまでに時間が取られ、「全体の中でどう使うか」も悩みます。時間との闘いです。問題自体は難しくありません。
 課題1はゼロカーボン政策の必要性と金融の役割、課題2は社会保障と財源問題、課題3は少子化・若者対策。すべて当たり前と言えば当たり前、予想のド真ん中の問題です。
 求められる解答も当たり前のことばかりです。しかし、「当たり前のことを当たり前に書く」のは意外と難しいんです。どこまで省略できるのかも悩みます。というか、基本的には全然分かってない人に説明するみたいに、「易しく」「すべて」書く必要があります。それが結構出来ないのです。ただこれは「練習」で出来るようになります。難しいことは必要ありません。
課題2だけは、さすがに「出題の趣旨」の中で「本問については採点対象となった答案が少なく」(!)と書いてありましたが(相当少なかったんですね)、これは問題作成のミスとしか言い様がないですね。「解答のためには社会保障制度や財源の性質など系統的な知識が必要であり、やや難しい問題であったかもしれない。」ですって。難しい問題ですよ!いい加減にしてください。税と保険料の違いを意識している人なんてどれくらいいますか?私でも、えーとどうだっけ?と思いながら解きました。知っていれば難しい問題ではないです。
課題3は少子化対策。女性の社会進出が進んだ国ほど出生率が高いというデータがありますが、深く突っ込めば「ホンマかいな?」という突っ込みもできるところです(どういうメカニズムでそうなっているのでしょう)。が、深く突っ込まずにあっさり書きました。単に女性進出をすすめるだけでは、女性が苦しくなるばかりで少子化は解決しないですよね。また、ハンガリーの例というのも、議論を呼ぶ資料です(解説参照)。
いずれにせよ、選択式の合格者が135名中35名ですので、なんとか選択式試験を通過して(選択式試験で基準点に達しないと、論文式試験の答案さえみてもらえません)、その中で書き負けないように頑張ってください。
合格者の方には行政書士の資格を持たれていた方が複数名いらっしゃって、政策の知識というより、全般的な勘所や作業能力が効くのかなという印象も受けました。

課題1
温暖化の問題です。温暖化の問題に金融業界がどのように関与するか、を書きます。お金の面から締め上げる、と一言で言えばそれだけですが、書くのはかなり面倒です。練習してください。②のところでロシアのウクライナ侵攻によるヨーロッパのエネルギー政策の変更というのが挟まれていますが、すべて易しい問題でしょう。資料(と英略語)が多いので、グラフを読み取るのに時間が取られると思います。これじゃ、資料解釈のテストみたいですが、必修の課題1は今後もこんな感じでしょう。

課題2
 全体でも書きましたが、一見簡単っぽいですが知らないと②が書けない問題です。このような知識を問う問題は良くないです。
解答例では、勉強の為に「保険原理」と「扶養原理」という言葉をつかって書いていますが、もちろん知らなくていいです。私もこの問題を解くまで詳しく知りませんでした。
 たまに、一般有権者の方で、「保険料も(累進課税みたいに)金持ちから多く取れ!」ということを言われる方がいますが、保険と課税はちょっと違います。金持ちでも病気になる確率は基本的には同じです。だからおなじ掛け目(確率)で保険料を徴収します。リスクの分散の為です。負の宝くじというか。所得格差の再分配機能は、所得税の累進課税とかに任せるべきで、本来は保険にそういう役割を負わすべきではないです。が、両方が混ざってなんとなくグダグタになっているのが現在の日本の社会保障で、グダグダになっているのが当たり前として生きている私たちに、今更原理を説明しろ!と言われても頭の中に「?(クエスチョンマーク)」が飛ぶだけです。
 「こども保険」なんてアイディアもありましたが、あれがまた世間の誤解に拍車をかけていると思います。子どもを持つことは「リスク」なのでしょうか?本来、結婚する・しない、子どもを持つ・持たないは個人の自由です。ですから本当は全額「自己負担」でまかなうべきです。が、しかし社会構造も雇用慣行もなかなか変わっていかず、子育ては大変なので、少子化がどんどん進行する。そこで、「公費」で負担する、子どもを社会全体で育てるという子育ての「社会化」が進行します(世界的にも)。本来は、雇用保険料に上乗せして子育ての財源に充てるという現在の政策は(批判が沢山あるように)筋違いなわけです。子育て世帯に給付するのに、子育て世帯の雇用保険料を上げてどうするんじゃい!とか、子どもを持っていない現役の勤労世帯から、子どものいる世帯への所得移転になってしまう、と批判されていますよね。元明石市長の泉房穂さんが友人の官僚に聞いた話として、「厚労省が財源を財務省に要求しても首を縦に振らないので、厚労省が管轄できる保険料の負担を増やしている」という話がありましたが、あながち間違っていないのかも。本来なら税でまかなう性質のものを取りやすい保険料で取ろうとしているからおかしくなるのです。お互いが連携しないうちにドンドン両方が上がっていくというのは望ましい姿ではありませんね・・・。
 社会保障と財源については、国立国会図書館のこのレポートもご参考に。
社会保険による財源調達

課題3
 少子化の問題かと思って解いていたのですが、どちらかというと若者政策一般について書かせたかったようです。①については完全に少子化ですが、②のハンガリーの例というのが、何を言わんとしているのかよく分かりませんでした。ハンガリーも一時、合計特殊出生率が回復しましたが直近は落ちていますし、あまりになりふり構わずやった政策が公平という観点からもどうなんだろう?と最近では疑問符を付けられています。「独身罰」だと批判しているものもありました。
特に資料8「ハンガリーの人口と平均年齢の推移」と資料9「ハンガリーからハンガリー国外への移住者数と移住先」の資料の使い道が分かりにくいです。ハンガリーは若年層が海外へ流出して、毎年人口が3~4万人減少し、平均年齢が段々上がり、人口減少が心配されているようです。それを希望のない国・日本から海外への人材流出と絡めて書かせる、というのが意図だったようですが(出題の趣旨で「インドやASEAN諸国地域の経済成長後に生じえる日本からの人口流出に対する方策」を評価しています)、背景が分かるにはちょっと資料不足だと思います。元ネタはこのJETROの記事で間違いないでしょう。表も同じですし。
「好景気の他の欧州諸国で高賃金を得たい」というのが、若者の国外脱出の元々の第一位の理由だったらしいです。これは、最近の日本でよく言われる「海外で稼いだ方が豊かな生活ができるや」と、寿司職人や理髪師さんなんかが海外に行っているという日本の現状にあてはまりそうです。いや、待てよ、アレは円安が直接の原因だから無理があるか。無理矢理感がありますね。賃金が上がらない日本の若者の脱出という点で、ハンガリーとの共通点を考えさせるという意図なのでしょう。しかし、直近はハンガリーでは急激に賃金上昇があったようで、不満の一位は「政治への不満」となっています。そうするとまた話が違ってくるような・・・。
ここあたりの評価を読むと、独自アイディアを評価する傾向はまだ変わっていないようですので、色んなアイディアを書いてみましょう。

ちなみに、ハンガリーの平均年齢は資料によると42.5ぐらいですが、日本は48.6歳(World Population Reviewによる2020年の数字)。
1位   モナコ       55.4歳
2位   日本        48.6歳
3日   ドイツ       47.8歳
4位   サンピエール島・ミクロン島  46.5歳
5位   イタリア      44.5歳
6位   ギリシャ      44.5歳
7位   スロベニア     44.5歳

しかし、直近の報道によると、日本の平均年齢はとうとう50歳になったとのことです。日本は高齢国なんですね・・・。

令和5年度 政策担当秘書資格試験 解説(資料編)

 令和5年度の政策担当秘書資格試験の課題の公表がありました。https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/hisho/pdf/r05shushi.pdf
現在、解答例と解説を鋭意作成中です。そして、気になるのが毎回の著作権関係による資料の抜けですが・・・。
 今年度、課題1から2は抜け資料がなく「良かった良かった」と思っていたのですが、ありました。課題3「少子化対策」。こんなに問題無く使えそうな資料がいっぱいありそうな分野でこんなに資料が抜けているとは・・・。
 と、嘆いてばかりもいられないので、元資料を探してみます。
「資料1 各国の合計特殊出生率の推移」は、内閣府の資料ももちろんあるのですが、(何故か)富山県の資料が見やすくてお勧め 。https://www.pref.toyama.jp/sections/1015/ecm/back/2014dec/tokushu/1_3_04.html
「資料2 年収別に見た日本の40代男性の子どもの数」は間違いなく東京大学の研究のコレでしょう。https://www.u-tokyo.ac.jp/content/400187301.pdf よく引用されているので、もう少し見やすくしたグラフもありますが、おそらくこのまま出されたのではないでしょうか。
「資料3 各国の女性の就業率と合計特殊出生率の相関」は、就業率ではなく労働力率と言う言葉を使っているのと、年次が古いので違っているかもしれませんが、信頼性とよく使われているのを加味して、コレを推します。https://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/syosika/houkoku/pdf/honbun1.pdf
4ページの図です。
「資料6 ハンガリーの主な家族支援策」はこの記事が元ネタではないかと思いますが、どうでしょうか。https://apinitiative.org/2023/09/11/50901/ 表は著者の方が作成されたものがよくまとまっているので、スペースを考えるとコレではないかと思います。
 「資料7 ハンガリーの合計特殊出生率の推移」は毎日新聞の記事がきれいなものを作って載せていますが、有料記事になっているので記事からは見れません。検索すると図だけがでます。https://mainichi.jp/articles/20220127/k00/00m/030/234000c 要は2011年に1.23だったものが2018年に1.55まで回復したというものです(2019年には1.49に落ちている)。

では、もうしばらくしたら令和5年度問題の解答例と解説を公開しますので、お楽しみに!

令和5年度政策担当秘書資格試験 合格者オリエンテーション

昨日(9/27)令和5年度の合格者の方のオリエンテーションがありました。今年の合格者は14名。様々な経歴と思いをお持ちの方が来られてるなという感想でした。

今年も政策担当秘書出身の大西健介衆議院議員と梅谷守衆議院議員が来賓で挨拶されました。政策担当秘書試験の合格者は、他に林芳正前外務大臣、宮下一郎農水大臣もいらっしゃいます。受験者数が最近は横ばいですが、素晴らしい制度だと思いますので、是非多くの方に受験していただきたいです。

今年の試験の概要も出ましたので掲載しておきました。しかし、選択式試験で135人から34人に絞るのは、絞りすぎの気がします・・・。選択式試験対策は「受かる!政策担当秘書試験」の1冊目の方で解説していますので、ご興味のある方は参考にしてみてください。

今年度の試験問題の解説と解答例も、発表されましたら、できるだけ早く解いて掲載したいと思います。