第2回はストーリーの大切さです。人間は太古の昔から物語(ストーリー)が大好き。文字のない時代から口伝えで物語を語ってきました。子どもは「お話読んで」とせがみます。大人も暇があったら携帯やテレビ、パソコンでドラマを観ています。そしたら何故ストーリーを語らないのでしょうか?候補者から聞きたいことは色々ありますが、まず「あなたは誰?どこからきて、どこへ行こうとしているの(私たちをどこへ連れて行ってくれるの)?」です。
映画『アラジン』で冒頭、アラジンが市場で小さな子どもに食料を分け与えるシーンがあるのだけど、何故あのシーンがあるか分かりますか?
あれがないと、アラジンはただのコソ泥です。アラジンが「優しい心」を持っているからこそ、後のストーリーで王子になりすまして王女と結婚しようとしても違和感がありません(それでもアリアリですが)。『バックトゥザフューチャー』の冒頭はどうだったでしょうか。だらしなく寝ているマーティーが遅刻しそうになって慌てて起きるシーンから始まります。これだけで、「この映画の主人公は、学校でモテモテのスーパーマンではなく、ちょっとだらしなくておっちょこちょいのテーンエイジャーなんです。ちょうどあなたのように(だから一緒に楽しみましょう)」ということが、短い時間に表現されているわけです。こういう風にちょっとした動作やエピソードで人物描写をしていない小説はほとんどありません(逆に人物描写を隠して、読者を引きつけるのがミステリーや推理小説)。だから、エピソードで人物を知ってもらうべきです。
余談ですが、よく、弁護士の方が候補者になった場合の「あるある」は、①まず「○○○○、弁護士です!」と名乗る(まぁ、これは聞く人への共感性は中立ぐらい)。②自分の関わってきたケースを列挙してしまう、ということがあります。司法試験か仕事の影響でしょうか。前にある候補者の人に、列挙をやめて一つのストーリーに絞るというアドバイスをしたけど、アドバイスをしたことを自分で忘れていて、ビラを配りながらその演説を聴いていて泣いた、というアホなエピソードを書いたことがありますが(シングルマザーのお母さんが子どもが出て行って帰ってこなくて心配で相談に来たという話)、それぐらい違います。
また長くなったのでストーリーについては、また続編。