演説について

今回の都議選で大勝した候補から、ごく初期の段階で演説の指導をして欲しいという依頼があって、実は一度行っている。とはいえ、駅で街頭をやっているところで2回ほど本人の前で演説しただけで、特別なことを伝えたわけではない。しかも、そこで伝えたかったのが「数字の使い方」だったのだけど、本人はもっとエモーショナルな話し方をする人で、ほとんどというか、全く影響を受けていないと思う(演説ってその人の躰から出てくるのでなかなかスタイルが変わらないのだ)。
 数字は上手く使うと説得力が増す。例えば政府のコロナ対策を批判するんだったらこんな風だ。「昨年9月16日、菅総理になってから、コロナの感染者は前任者の時の10倍、累計7万人だったのが70万人増えて約77万人になっている」(6月14時点)というと、いかにこの時期が異常だったか、聞く人がイメージしやすい。
 ただし、一つの演説で数字を沢山使うと聞く人が数字を追うのに疲れて混乱する(ある議員さんは一つの演説で10箇所以上数字を使うので、3カ所以内に絞り込んだら聞きやすくなった。理想は1カ所。アル・ゴアの講演でも1カ所だけだった)。
 女性候補の応援だったら、「都議会議員の男女比率、都議会は女性28.6%と全国平均10.1%より高いけど、男女半々いる世の中なんだから、せめて半々50%にしませんか」と言う。市議選なら「すでに50%になってる市町村もあるんですよ。例えば葉山町53.8%、大磯町50.0%。なんだ町ばかりじゃないかと言われるかもしれませんが、市も50%に近いところがあります。大阪府交野市46.7%、東京都清瀬市45%。しかるに○○市の現状どうですか・・・。もっと女性の声を反映しなくていいんですか」と話すわけです。
 もちろん数字がスラスラでてこないとカッコ悪い。無敗の男、中村喜四郎先生の演説でも数字がバンバンでてくる。しかも1回しかやらないような応援演説でも「この○○県は、△△は日本一!しかし□□は全国最低ですよ!変えなきゃいかん(意訳です)」とやるわけです。よくそれだけ研究しているなという思いと、とにかく数字が出てきてすげーなーと思って不思議だったのですが、常井健一さんの名著『無敗の男』を読むと、中村喜四郎先生が単語カードに書いて主要な数字を覚えているという記述があって、なるほどという納得と、あの喜四郎先生でもそんな努力をしているのか!とますます敬服しました。
 長くなったので、次回は「ストーリーの重要性」。

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