というほどすごくないですが、いよいよあと10日ほど(6/26試験)に迫ってきました政策担当秘書試験。直前ですが、去年の問題を解説したものをアップさせていただきます。
平成31年(令和元年)度問題解説
課題1
食料安全保障についてです。
① 質問にある誘導に乗って、資料3のイギリス、ドイツとの比較。Q:生産額ベースでは同じぐらいなのに何故問題なの?A:カロリーベースでみるとちがうでしょ。という流れです。ちなみにカロリーベースの説明はありませんが、資料2あたりから、「品目が関係あるんだな」と推察出来ると思います。
その前に資料1の全体的な傾向を書いておいた方がいいです。これが、「当然わかっていることでもちゃんと書く」ということです。そうすると資料1→資料3または2と使って、最後は資料4までという流れで書けるのではないでしょうか。資料5はなんとなく傾向のちがう資料なので②で使うのかなと判断できるので、使う資料は4までとしました。
② 日本の成長動向を踏まえた上で、国内外の食料需要や耕作面積の動向を考慮し、食糧確保のあるべき姿を書くということですので、それぞれについて言及します。日本の成長動向については資料がないので、想像というか一般常識で書くしかありません。毎回でてくるのですが、現代日本の最大の問題点は少子高齢化です。毎年の試験問題も、この問題を根底にしたバリエーションと言ってもおかしくありません。ですから、少子高齢化で低成長ということを前提として書きます。ただ面白いのは資料8の1,2で、高齢化した場合に「摂取熱量か多くなるのか、少なくなるのか」判断に苦しむのです。高齢者が増えると当然必要とされるカロリーが減るとおもわれるのですが、高齢者になると(特に70歳台)摂取するカロリーが増えているのです(資料8-2)。出題の趣旨に書かれていましたが、これはどっちをとっても良さそうです。これもこの試験の特徴である、「(判断がわかれるものについては)結論はどっちでもいいが、説得的に書くこと」のミニ版みたいな感じです。私は摂取量が増える方向で書きました。
需給動向は資料7しかありません。色々な見方ができますが、あっさりと不足地域と過多地域に分けました。耕作面積の動向も資料がないので一般常識で書くしかありませんでした。
今回の出題の趣旨でちょっと驚いたのは、政策・方策について考えさせて、それを大きめに評価していることです。課題1も、何度もいっているように「資料に沿って書いていけば素直に書けます」。高得点を取るには資料が読み取ってもらいたいものを大体すくい上げた上で、ちょっとしたアイディアを書かないといけないようです。以前からもそうですが、これまでよりもアイディア部分を評価しているように感じます。
アイディアといっても、斬新なものである必要は無く、よく言われているような普通のことでいいです。大体、問題にでてくるようなのは解決が難しい大問題がほとんどです。それを試験時間の中で、思いつかせようとはしてないです。が、それなりに考えてきらっと光るアイディアを出すと評価されるようです。日頃から、「こんな考えがあるのか」とか「何か方法はないのか」と意識していると、出てきやすいと思います。繰り返しますが、すごい解決策は必要ありません。普通のことを書けばいいです。また自分のポリシーに反していても書きやすいことをかけばいいです。
課題2
森林の違法伐採の問題です。よく毎年の試験問題の課題2にでてくる公共財(特に国際的公共財)の問題です。問題を解くキーとなる資料が著作権の関係でごっそり抜けているので、解きにくいです。だいたい問題を解けるぐらいには探しましたが、今回は「これだ!」という資料が発見できませんでした。特に資料7の「EU森林法施行・ガバナンス・貿易行動計画」についてコンパクトにまとまったものが発見できませんでした。ウェッブサイトなどで確認してみてください(細切れの説明ばかりなのでわかりにくいです)。また日本のCW法(クリーンウッド法)との関係がよく分かりませんでした。なまじ日本のCW法を知っていると「何を書けばいいの?」という感じになるのではないでしょうか。
① 国際社会の協力の必要性です。過去問にも何度もでてきます。資料1、2、3を使えば説明できると思います。地球温暖化と生物多様性の維持を書ければいいと思います。書き慣れていないと難しいかもしれませんので、過去問をみて、公共財の意義についてはさらっと書けるようにしておいた方がいいと思います。森林の果たす役割につい「基本的な知識が欠如している答案が散見された」と出題の趣旨に書かれてあったので、意外とライバル達はレベルが低い??
② は資料がごっそり無いので、想像で埋めていますが、おそらく違法伐採の比率の高いインドネシアとベトナム?あたりと取引している日本にも責任があるのでは、とういうことを言いたいのではないかと思います。その上でEUの法制を参考に、というかEUの法制そのものが回答みたいなもので、逆にどう新しいことを書けばいいのか迷ってしまいます。が、これをベースに書けばいいと思います。そしてここでも、課題1と同様、「出題の趣旨」を見ると、アイディアを重視しているようです。採点をしていると退屈するのでしょうか?「政策担当秘書なんだから、何かアイディアを出せ」ということなのでしょうか。今後、より意識しないといけないでしょう。
課題3
かつて予想問題ではかならず挙げていた労働の問題です。IT化によってどのような変化と問題が起きるのか、というこれも日本の課題として必ずあがる問題です。
① は簡単すぎると言えば簡単なのですが、簡単に書くと「資料の内容をそのまま援用した議論が多く見られ」とバッテンを食らっていまいます。資料が少ないとき(特に課題2,3の選択問題)は、資料だけに頼らずに想像力を持って書くことが必要なようです。とはいえ、「長期的な視点」なんて持ったことがないですし、「『高スキル』職種の労働内容自体が技術によってその中身が変わる」なんて議論も聞いたことがありません。「無茶言うなよ!」と思いました。そこまで求められるのであれば、結構難しい問題といえるのはないでしょうか。
② これも政策のアイディアの提出です。そして意外なものというのか、幅広にものを考えている答案が評価されているようです。そう考えると今回の問題は、3問とも政策のアイディアを評価していますね。と傾向が変わったのでしょうか。要注意です。